トライアンフ東京 月別アーカイブ
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皆さんこんにちは。トライアンフ東京の蔡誠司です。今回はBonneville T120についてお話しさせていただきます。
■Bonnevilleの名前の由来
よく、Bonneville(ボンネビル)はイギリス車なのに、なぜアメリカの地名が車名になっているの?と聞かれるのですが、これは、アメリカ・ユタ州のボンネビル・スピードウェイで今でも毎年8月に行われている、最高速度を競うレースでの勝利に由来します。
スピードウェイといっても、いわゆる一般的なサーキットではありません。ユタ州にあるグレートソルト湖が干上がって出来た30000エーカーに及ぶまっ平でカチコチな平原(塩原)をコースに見立てて、そこをスピード自慢のマシンを駆って最高速度を競い合うのです。
このボンネビル・スピードウェイのことは映画にもなっており、題材は他メーカーのバイク「インディアン・スカウト45」の話になりますが、「世界最速のインディアン」と言うタイトルです。
これ、じつは私が最も好きな映画なんです。劇中、アンソニー・ホプキンス演じる主人公バート・マンローが、近所の子供と話している時、「このマシンでスピードに挑む時は5分が一生に勝る。一生よりも充実した5分間だ!」と語ったシーンが忘れられません。
1920年代に作られた非力なバイクを自らチューニングにチューニングを重ねて、世界最高速度を記録するバイクにまで仕上げた、不屈の精神の持ち主の話です。
と、少々、脱線しましたが、Triumphもこのボンネビル・スピードウェイで1955年、650ccのエンジンで時速193マイル(約309キロ)の最高記録を打ち立てています。そして、その翌年には同じエンジンの発展型で時速214マイル(約342キロ)を打ち立てているのです。
その後、ボンネビル・スピードウェイでの勝利を支えた技術力のフィードバックから作られた、画期的な高性能エンジンを搭載した新型車を1959年に発売することになりました。
当時、マーケット的にもアメリカは最大の市場規模を誇っており、そこでも勝利したいとの思いから、ボンネビル・スピードウェイでの勝利にあやかり、車名を「Bonneville」と名付けたそうです。
■スタイリング
いまのBonnevilleは現在の道路事情や排気ガス規制に適合するべく、最新技術でエンジン他を制御するようになっていますが、往年のモダンクラシックなデザインは受け継がれています。
空冷の時代から少しずつリファインされながらも、その美しさは今でも何ら変わりません。この見ていて飽きの来ないデザインは、様々なメーカーがお手本にしたそうです。
■エンジンの特性
低回転からトルクフルで非常に乗りやすく、そして心地よい排気音と相まって、トコトコと走るのが楽しい特性に仕上がっています。
国産のリッターバイクのような天にまで突き抜けんばかりに回るフィーリングはありませんが、120年の歴史が生み出すTriumph伝統のバーチカルツインエンジンの鼓動感は何物にも代えがたい魅力があります。
低回転では味わい深い鼓動感を生み出しつつ、クルージングでは程よいエキサイティング感を楽しめる、そんなエンジンに仕上がっています。
■ハンドリング
フロント18インチ、リア17インチという組み合わせのセッティングは現代風で、程よい軽快感に仕上がっています。フロントブレーキはT100のシングルディスクに対してT120はダブルディスク。その分の重さは感じ取れるのですが、これは2台を乗り比べて初めて分かるレベルです。
ブレーキのタッチはしっかりしていて、握り込んだ分だけちゃんと効いてくれる、さすがブレンボですね。
そして、これまたTriumphのノウハウが詰まった伝統のダブルクレードルフレーム、見た目は何の変哲もない鉄パイプを曲げて溶接しただけに見えるのですが、パワーとタイヤのグリップにマッチした秀逸なフレームで、Bonneville T120の素性の良さに貢献しています。
走りだせば237kgの車重は感じません。しかも、ハンドル切れ角も大きいので、ごく低速域での取り回しも楽ちんです。初めての道、ツーリング先での狭い路地、行き止まりでUターンするような場面でも、足付きの良さと相まって機動性は抜群です。
■足つき性
足付き性は低いシート高のお陰で、身長172cmの私の場合は両足べったりで安心です。小柄な体形の方でも大丈夫だと思いますが、足付きに不安な方はシート加工(アンコ抜き)でローシートにすることも可能です。
※写真はT120Blackのためマフラーが艶消し黒になっています。
■電子制御
T120には快適に高速道路をクルージングできるよう、シングルボタンで操作のしやすいクルーズコントロールが装備されています。
ライディングモードは「Road」と「Rain」の2種類です。トルク特性とトラクションコントロールの設定が調整され、悪天候の時はもとより、遠出の帰りで疲れている時にもパワーを抑えた走りが出来るので安心です。
ABSは万が一の時、急ブレーキで危険回避するような場面でもタイヤロックをすることなく、確かな制動力で車速を落としてくれる優れもので、普段はその存在を忘れてしまいますが、もはや安全なライディングには欠かせない装備です。私は過去に何度かABSに救われたことがありますので・・・。
★まとめ
厳しい排ガス規制「ユーロ5」に対応することが難しく、クラシックでオーソドックスなモデルが次々と廃盤となっていく現代にあって、変わらぬ高い質感で所有欲を満たし、そして、毎日乗って楽しく、いつまでもそばに置いていたいと思えるバイク、それがBonneville T120だと思います。
似たようなデザインのバイクは他メーカーでもありますが、あくまでも似たようなデザインです。乗り比べればわかります。Bonnevilleは唯一無二のバイクです。いつも忖度抜きにダメだしする私が褒めるのですから。それくらい歴史の重みを感じさせる秀逸なバイクです。
ぜひ一度、トライアンフ東京で試乗して、120年の歴史を感じてみてください。
皆さんこんにちは。トライアンフ東京の蔡誠司です。
今回は「新型 StreetTriple 765 RS」を袖ケ浦フォレストレースウェイで試乗してきましたので、その時の感想をお話しさせていただきます。
※袖ケ浦フォレストレースウェイ オフィシャルページより
まず、あくまでもスピードレンジが高いサーキットでの感想ですので、街乗りでは違った印象を受けるかもしれないということは、予めご理解いただいたうえで、読み進めて頂ければと思います。
※ブログ内の走行写真はオフィシャルページからの拝借です。決して私ではありませんのでwww。
■走行インプレッション(前型との違い)
まず、走りはじめて最初に感じるのは、前型と比べてスタートが楽に思えたところです。クラッチミートした瞬間から2気筒エンジンのように押し出そうとする力を感じられ、Moto2からのフィードバックにより各部を見直してパワーアップ(123PS → 130PS)したエンジンは伊達じゃないと感じました。
また、車体重量は前型と変わらない188kgなのに軽快感は強くなっています。特にコーナーリング時の倒し込みは、キッカケを与えた瞬間にスパッと倒れ込んでくれる、カミソリのような切れ味です。
これは、ホイールベースの短縮、キャスター角の変更、シート高11mmアップなど、車体構成を見直した結果、ロールポイントが前型と変わっているからなのかもしれません。
標準装備のクイックシフターはアップもダウンも素早いシフトを可能にしており、ギクシャク感はありません。シフトタッチは優しい感じで、どこかのメーカーのようにガチャンガチャンと大きな音を立てることも無く、スムーズにスコスコっとギアが入ります。
新たに搭載されたIMUによる恩恵は、奥で回りこんでいるコーナーで感じることが出来ました。車体をバンクさせている状態から、ブレーキングで減速し、更に小さく回り込む袖ケ浦の第4コーナーでも、安心してブレーキが掛けられるほどABSの信頼性が高く、介入もほとんど感じませんでした。
更に言うなら、袖ケ浦のストレートエンドで4速全開からフルブレーキング、フロントフォークがフルボトムしていても、スムーズに姿勢を乱すことなく減速できるのは驚きでした。これはIMU制御によるABSと、ブレンボの新しいスタイルマ・キャリパーの相性が良いのだと思います。
IMU制御によるトラクションコントロールの良さは実感としては正直わからなかったのですが、袖ケ浦サーキットの最終コーナー、少し上りの左コーナーでフロントのグリップ感が抜けそうな場所でも不安なく走れたのは、気づかないうちにトラクションコントロールが上手に制御してくれていたからだと思います。
同じくIMU制御によるフロントホイールリフトコントロールに関しては、スロットル全開で袖ケ浦の直線をフル加速してフロントが浮き気味になった時、わずかに介入があったのは分かりましたが、加速が鈍るような感覚はありませんでした。
新型StreetTripleの最新式電子制御は出しゃばるような介入が無く、非常に秀逸なシステムだと感じました。
ただ、このようにサーキットで走りやすいバイクというのは街乗りには不向きなのでは?と疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、乗りやすさを追求したフラットなトルク特性のエンジンは、回転数が上がるにつれてパワーが上がる、唐突にドカンとパワーが出ることがない、すごく自然なフィールのため、非常に乗りやすい特性になっています。
神経を尖らせるような必要は全く無く、乗り手のライディングスキルに合わせてくれる懐の深さ、許容範囲の広さを持っているのが、新型StreetTriple です。
■足つき性に関して
気になる足付きですが、標準シートでも身長172cmの私の両足が付きますから、平均的な日本人の身長であれば、特に臆することなく乗れる高さです。
メーカーオプションのローシート装着車両に試乗した感想ですが、確かに足つき性は良くなっていますが、座面が低くなってもシートの端を残すように削っているため、若干、足を大きく開く必要がありました。そして、シートの端が太腿の内側にあたるため、長時間乗車では、太腿の内側が痛くなるかもしれません。
また、座面をフラットにしないで「すり鉢」のように削ったせいで、座面の前方が盛り上がる形状になっているため、小柄な体形の方だと、この盛り上がりが邪魔になり、ハンドルに手が届きにくいと感じるかもしれません。
もし、新型StreetTripleでシート高を下げたい場合には、オプションのローシートではなく、純正品の加工でご自身の体形にフィットする形状に仕上げる方が良いのでは?と、個人的には思いました。
なお、リアサスペンション・アッパーマウントのスペーサーを取り外すことで、10mmローダウンすることも可能です。これに関しては、ノーマル車高と乗り比べても違和感はありませんでした。
トライアンフ東京でもシート加工や上記ローダウンも承れますので、ご希望の場合はご相談ください。
■まとめ
新型StreetTriple 765 RS の価格は149.5万円からですが、装備、質感、走りのどれをとっても価格以上に感じられ、とても割安感を感じる車両です。個人的には180万円が妥当な価格かなと思うくらいです。
スポーツバイクという性質上、サーキット走行を考えている方にお薦めなのはもとより、ビギナーからエキスパートまで楽しめる懐の深さ、街乗りからサーキットまで許容するトルクフルな3気筒エンジン、決め細かな最新式電子制御による安定感、専用チューンが施されたしなやかな足回り、剛性が高くバランスの良いフレーム、限界時でもコントロールしやすいブレーキと、どこをとってもTriumphのエンジニアが拘り抜いて作り上げているため、すべての人に乗る楽しさ、操る喜びを与えてくれるバイクだと感じました。
今回はサーキットでの試乗なので、高いスピードレンジでの話が中心となりましたので、街乗りやツーリングでのインプレッションは、別の機会にお伝えしたいと思います。それまで、少しだけお待ちください。
トライアンフ東京では新型StreetTriple 765 RS の試乗車の用意があります。気になる方は、私の言葉が嘘か本当か、ぜひ、確かめに来てください。
みなさんこんにちは。トライアンフ東京の蔡誠司です。
今回は見た目が強烈~!!なTiger1200 Rally Proに乗った感想をお伝えしたいと思います。
■足付き
シート高は875-895mmとかなり高く、身長172cmの私の場合、両ツマ先が付く程度です。もちろん低目の875mmにセットしましたが、写真(左)のようにバレリーナ状態ですwww。
左足べったりの写真(右)はお尻を少し左にずらした状態のもので、信号待ちではこうやって、左片足で支えるようにしていました。でもまぁ、こうすると、車高の高さも何とかなるもんですね。
ただ、信号待ちしている時に強い風にあおられ、一瞬ヒヤッとする事もありましたが、乗って乗れないことはない、と言うのが正直な感想です。きっと慣れれば大丈夫な気がします。
■エンジン
新開発のT-PLANEクランク採用の3気筒エンジンは、不等間隔の点火サイクルが特徴です。低速域では2気筒に近いトルク感で蹴り出す力を感じやすい印象ですが、高回転では4気筒に近いフィーリングに変化します。
点火サイクルの違いを言葉で表すのは難しいのですが、例えば下記グラフの山の部分で爆発していると想像してみてください。
等間隔が「ドン!ドン!ドン!」だとすると、新開発T-PLANEクランク採用の不等間隔は「ドドン!ドン!」といった感じです。※点火サイクルについては別の記事で詳しくお伝えします。
新型エンジンは従来型よりコンパクトになりながらも高出力を実現し、トルクは7000回転で130nm、パワーは9000回転で150馬力を発生します。
しかも、低回転からしっかりトルクが出ているので、スタートも気を使うことは一切なく、さほど回転を上げずともギアを上げて行く度に車速が増していく印象です。
しずしずと穏やかに走ることが出来る特性を持ちながら、どの回転域においても必要なパワーを好きなだけ取り出せる、そんなエンジン特性になっています。
これは、オンロードだけでなく、オフロードに持ち込んでも楽しめそうですね。ただ、スロットルをガバっと開けると、空を飛びそうな勢いで加速していきますのでご注意ください・・・。
電子制御もかなり進化しており、6種類のライディングモードの切り替えに合わせて、サスペンションの減衰力やスロットル開度に対するエンジンレスポンスが最適になるよう自動で調整してくれたり、6軸IMUという慣性計測ユニットは、車体の前後・左右・上下の傾きと加速度をセンサーで計測することで、ABSやトラクションコントロールの介入度合を調整し、特に車体を傾けているコーナーリング時のブレーキングなどでも、最適な走りを実現してくれるようになっています。
ただ、今回は街乗りオンリーでしたので、改めて長距離ツーリング、出来れば足場の悪いコースに持ち出して、電子制御による乗り味の変化を比べてみたい思います。
■ハンドリングほか
見た目もインパクトも大きい Tiger1200 Rally Pro。でも、走りだしてしまえば車体の大きさは忘れてしまいます。
何より、驚いたのが車体のバランスの良さです!!
ラジエターを二分割にして両サイドに振り分け、その分、エンジン搭載位置を少し前にズラすなど、以前のモデルより重量配分の最適化にこだわったのが、すごくよく分かります。
とても、車重250キロ・ホイールベース1560mmもあるようには思えず、一回り小さな車体に感じるのはすごいと思いました。
この重量バランスの良さのお陰で、歩くような速度で走行しても、グラつくことはありません。苦手だった教習所の一本橋、もし、教習車がTiger1200 Rally Proだったら、楽々クリアできたでしょうね。
Tiger1200シリーズはシャフトドライブを採用しているので、特有の癖(加速時に車体後部が持ち上がる)はどうだろうかと思っていたのですが、それは全く気になりません。と言うか、言われなければ分かりませんwww。
これは、トライリンクスイングアームによる効果なのだと思いますが、エンジンパワーの伝達ロスが少なくメンテナンスフリーと言うシャフトドライブのメリットが生かされるようになっています。
フロント21インチ、リヤ18インチの大きなスポ―クホイールの組み合わせは、悪路での走破性を高めるためですが、街乗りでも曲がりにくさや乗りにくさを感じることは全くありません。
しなやかによく動く前後サスペンションのお陰で、姿勢変化をきっかけにして、気持ちよくコーナーを曲がってくれる楽しいバイクに仕上がっています。
乗り方は人それぞれあると思いますが、セオリー通りのコーナーワークで曲がってみたら、このTiger1200 Rally Pro、へんな挙動を出すことなく、気持ちよ~く曲がってくれました。
①ブレーキを掛け減速する ②フロントフォークが沈む ③ブレーキを抜きフロントフォークが戻る ④その時のふわっとする瞬間に曲がる方向へリーンする ⑤自然なセルフステアが発生して穏やかに旋回が始まる ⑥車体が出口を向いたところでスロットルを開ける ⑦コーナーを抜け加速する
これらの動作がとても穏やかに行えるゆとりがあり、とても素直で良いなぁと感じました。
さすがに車体の大きさから軽快感はありませんが、だからといって鈍重な感じは全くありません。コントロールしやすい穏やかなハンドリング、そして車体剛性の高さを感じる正確な動きと相まって、車体の挙動を察知しやすいところは特筆したいポイントですね。
アドベンチャーバイクはとかく装備面が取り上げられることが多いのですが、一番大事なのは長距離走った時のライダーの負担や疲労感がどれだけ少ないか、ではないでしょうか。
このTiger1200 Rally Proの素直なハンドリング、そして高い車体剛性からくる穏やかな挙動は、長距離を走るライダーの疲労を最小限にするよう、トライアンフが考え抜いて作った旅バイクんなんだなぁと、しみじみ感じた試乗でした。
気になってる方は、ぜひ、試乗してみてください。きっと、「ほぉ~」と感慨深いものがありますよ。
みなさんこんにちは。トライアンフ東京の蔡誠司です。
今回はScrambler1200XCについてお話ししてみたいと思います。
Bonneville系1200ccエンジン搭載車は、みんなキャラクターが明確に分かれていて、それぞれの良さがあるのですが、Scrambler1200XCは乗ったら面白いだろうなぁと思いつつも、その大きさから敬遠していた車種でした。
でも、2月のツーリング企画「一足早く、春を感じませんか?」で使用する予定の車両のため、大きさに慣れなければと丸一日乗ってみましたので、その時に感じたままをお話していきたいと思います。
では、まず最初の関門であるシート高から。
Scrambler1200XCのシート高は840mmと高めの設定です。これは悪路での走行を想定して、サスペンションを長めに設定しているためです。
サスペンションが動く長さを「ホイールトラベル」と言いますが、このScrambler1200XCは200mm。同じエンジンを積むカフェレーサースタイルのThruxton RSは120mmです。二台並べて比較すると、車高の違いがお分かりいただけると思います。
参考までにScrambler1200XCよりも更にオフロード性能を高めた「XE」というモデルのホイールトラベルは250mmで、シート高は875mmです。もう、笑うしかありません。
私は身長172cmなのでScrambler1200XCは足付きが不安でしたが、跨ってみると適度にサスペンションが沈み込み、両つま先がしっかり届きました。これだけ足が付けば遠出しても大丈夫です♪
Scrambler1200XCのデザインは好きだけど、その大きさに圧倒されて「ムリだろうなぁ~」と選択肢から外されている方は、一度、トライアンフ東京で跨ってみてください。もちろん、試乗もOKです。
きっと、今までの印象が変わるかもしれませんよ。ちなみに、購入時はオプションのローシートに変更すれば、シート高を「25mm」下げることも可能です。
さて、次に乗った時の感想はどうなのでしょうか。
Scrambler1200XCはキーレスのため、エンジンスタートはポケットにワイヤレスキーを忍ばせたまま、ハンドルのスターターボタンを押せば元気よく目覚めてくれます。
メーターの表示は速度計を大きくするか、回転計を大きくするか、好みで変更可能です。私は回転計がアナログで速度計がデジタルの組み合わせが好きなので、そちらを選んで走りました。
ライディングモードは5種類(Rain、Road、Sport、Off-Road、Rider)です。スロットルレスポンス、トラクションコントロール、ABSがモードによって変わります。
悪天候の中を走るのなら、もちろん「Rain」が安心です。街乗りでしたら「Road」がお勧めです。
慣れてきたら「Sport」、そして、本格的なオフロード走行でタイヤがグリップしないような路面コンディションであれば「Off-Road」にして、敢えてトラクションコントロールやABSを解除してしまった方がコントロール性は上がります。この辺は別の機会に掘り下げてお話しできればと思います。
発進時はECUが状況を読み取って、クラッチをつなげるだけでスロットルを開けなくても回転数が少し上がる「アシスト機能」が付いています。
Scrambler1200XCのエンジンは低速からの強いトルクが持ち味なので、こういったアシストがあることでスムーズな(ジェントルな)発信を可能にしてくれているのです。
渋滞にハマってしまって、少し動いては止まってを繰り返すような時、スロットルの開け方に気を遣わずに済むのはありがたいなぁと思いました。これだけでも、疲労度はかなり減りますからね。
また、Triumph伝統の1200ccバーチカルツインの加速性能はスペック以上の体感加速です!
一般道では本来のポテンシャルを発揮する機会が少ないのですが、高速道路の料金所からのダッシュは相当な加速力を見せてくれました。
低速からの太いトルクに乗った加速は心地よく、回転数が上がるにつれて大きな車体をグイグイとスピードをのせていってくれます。法定速度+αまでアッという間に到達します!
パワーこそRRの半分ですが、トルクはさほど変わりませんから、当たり前かもしれませんね。
クラシカルな見た目とは裏腹に、相当なポテンシャルを秘めていると感じました。映画「007」で起用されたのも頷けます。
それでは、コーナーリングに関してはどうでしょうか。
フロント21インチ、リヤ17インチの組み合わせにブロックパターンのタイヤを履いていますので、あまり期待していませんでしたが、ほんとうに良い意味で裏切られました。
スポーツ系のバイクとは違って、ヒラヒラ曲がるようなハンドリングではありませんが、非常にナチュラルな特性で、人間の本能的な感覚にピタッと来る感じと言ったら褒め過ぎでしょうか。
それくらい自然なフィーリングで、スイ~ッスイ~ッとコーナーを駆け抜けることが出来るハンドリングです。
曲がりたい方向に車体をバンクさせる時も大げさなアクションはいりません。行きたい方向へ肩越しに目線を向けて、お尻から押し出すように意識すればフロントタイヤを軸にして気持ちよく旋回体制に入ってくれます。
いやいや、これはツボにハマりましたね~。これって僕が求めている理想的な感覚です。
標準装着のタイヤはメッツラーのツアランスと言う、オンオフ両用の決してハイグリップなタイヤではありませんが、コーナーで車体をバンクさせていっても、不安を感じることなく気持ちよく走ることが出来ました!!
これは、Scrambler1200XCのしなやかなフレームと、良く動くサスペンションのお陰で、車体全体でタイヤを押し付ける力、「メカニカルグリップ」が強いためなのかもしれません。
ライディングポジションは状態を起こした姿勢のため非常に楽ちんです。ハンドル位置は若干高いかなと思いましたが、一日中乗っていても肩、肘、腰などに力みが生じることはありませんでした。
ただ、高速道路での走行時は風圧を体全体で受け止めることになりますので、Triumph Tiger900などのアドベンチャーバイクと比べれば、多少、疲れます。でも、この辺りは慣れの問題かなと個人的には思っています。
また、今回は滑りやすい路面も走ったので、トラクションコントロールとABSの恩恵にあずかる機会がありました。またその違いを体感してみようと、オンでもオフでも解除して走ってみましたが、かなり細かい制御が入っているのが分かりました。
見た目はクラシカルなのに、中身はしっかり現代の技術が盛り込まれていて、どんな時でも裏切ることなく、安心して走っていられるバイクです。
以前、Scrambler900のレビューでも言いましたが、デザインで惚れて、乗れば乗るほど好きになる。スクランブラーって、そんなバイクだと思います。
今回はこのScrambler1200XCを駆り出して、房総半島をグルっと回るコースを240キロほど走ってきましたが、その感想を一言で言うなら「楽しい~(^◆^)/~」です♪
「お前は子供か!」と突っ込まれるかもしれませんが、それくらい、メットの下ではニヤけて乗ってました。自分の感性にピタッと来るバイクが見つかると、走る楽しさって、ほんと倍増しますね。
今回のレポートがScrambler1200XCを検討されてる方の参考になればうれしいです。
みなさん、こんにちわ。トライアンフ東京の蔡誠司です。
今回は大人気のTRIUMPH SPEED TWIN 1200に乗ってみました。
まず見た目はトライアンフのモダンクラシックらしく、丸みを帯びたタンクにショートフェンダー、丸目一灯のヘッドライトの愛らしいデザインが特徴です。
跨ってみると低めのシート高(809mm)のかいあって、足つき性は良好です。
ラインディングポジションは手足が自然な位置に収まる位置にハンドルとステップがありますので、同じエンジンを積むスラクストンより楽ちんです。これならツーリングで長距離走ってもOKですね!
さてさて、エンジンはトライアンフ伝統のバーチカルツイン、しかもパワー志向のHPですから、回すほどにこみ上げるパワー感で、とても気持ち良い加速をしてくれます!
ライディングモードは「レイン」「ロード」「スポーツ」の3段階ですが、モードを下げても、パワーダウンはあまり感じませんでした。
一番おとなしいパワー特性の「レイン」でも、パワーバンドに入ればグワーッと加速してくれます。
ただ、「スポーツ」モードは高回転寄りの設定で、街乗りするには低速トルクが細いため、普段使いは「ロード」の方がバランスよさそうです。
ハンドリングに関しては、フロントフォークにマルゾッキを採用しているためなのか独特の味付けで、少し固めでドッシリ感がかなり強い印象です。
直進時は前後17インチホイールであることを感じさせない、大径ホイールのオフロード車のような直進性なのですが、だからと言って曲がりにくいことは全くなく、車体を倒しこんでいくとイン側にグググーッっと引っ張られるように旋回していくように、直進性と旋回性を上手にまとめ上げたセッティングとなっています。
最初のうちは若干曲がりにくい印象がありますが、これは、敢えて車体全体をバンクさせて曲がっていく旧車のようなセッティングにして、モダンクラシックなデザインに合わせた乗り味とした、トライアンフの粋な遊び心なんだと思います。
私はCBX400Fで育った世代なので、旧車のようなハンドリング、特に積極的に曲げて走る乗り味は好きですね♪
初心者が乗れば、ドッシリとしたハンドリングは安心感を覚えるでしょうし、また、ベテランが乗ればどこか懐かしさを感じる、そんな方向性の味付けが出来るところが流石トライアンフだと感心しました。
SPEED TWINの特性を理解したうえで、積極的にバイクを曲げていける、経験豊富なベテランライダーであれば、そのポテンシャルの高さを引き出して存分に楽しめるでしょう。
だからと言って、初心者の方が手に負えない、乗りにくいバイクなのかと言うと、そんなことは全くありません。
例え、初めてのバイクがSPEED TWINであったとしても、トライアンフのバイクは基本的に操縦性が素直ですし、何より乗り味に懐の深さがありますから、十分に楽しめるバイクだと思います。
ストリート中心の使い方でも、低速から立ち上がる力強いトルクフルなエンジンのお陰で、街中を元気よく走り抜けられますし、時にはサーキットに持ち込んで、思いっきり全開走行しても楽しめる、相当なポテンシャルを持ったバイクだと思います。
このSPEED TWINが自分の感性にピタッとハマった方は、きっと病みつきになっちゃいますよ!!!