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【メンテナンス】チェーンの注油について

みなさんこんにちは。トライアンフ東京の蔡誠司です。本日はチェーンのメンテナンスについて、お話ししたいと思います。

最近、巷ではチェーンのメンテナンスについて、注油は必要か否かと言う議論があるようですが・・・。この件について、某有名チェーンメーカーさんからお話を伺う機会がありましたので、お伝えしたいと思います。

 

■チェーンの種類
まず、バイクに使われているチェーン、実は構造的に大きな括りで分けると2種類あるのはご存じでしょうか。バイクに使われているチェーンは、シールチェーンとノンシールチェーンに大別されます。

ノンシールチェーンが昔からあるタイプで主に小排気量車、そして、シールチェーンは高速道路を走れるバイクの大半が採用しています。

シールチェーンは高速走行などで大きな摩擦が生じる条件下でも、対摩耗性を高め長持ちするようにチェーンの構造部品のブッシュとピンの間にグリスを封入して、そして、そのグリスが外に漏れないようにOリングで蓋をした、文字通りシールした構造となっているのが特徴で、これにより、ノンシールチェーンよりも長持ちするようになったそうです。

※RKチェーンHPより

 

■チェーンに注油は不要なの?

シールチェーンにはグリースが元々封入されている事から、チェーンに注油をしなくても良いのでは?と言う考えが生まれ、それがいつしか、「シールチェーン注油不要説」として定着していったようなのです。

確かに、チェーンの中にグリースが封入されていて、それがしっかりOリングで蓋されているのであれば中身は漏れませんし、また外から水分が混入することも無いと思います。

そうすると、シールチェーンに関しては注油不要と言うのは合理的な考えのように思えてきますよね。

 

■チェーンの構成部品は?

では、チェーンを構成する部品を見てみましょう。チェーンはアウタープレート、インナープレート、ローラー、ブッシュ、ピン、Oリングが組み合わさって出来ています。

そして、この中で、ブッシュとピンの間の摩擦が一番大きいため、グリスを封入して潤滑しているのは先述した通りです。

ただし、チェーンの構成部品は他の部品と常に擦れている状態にある事は忘れてはいけません。また、バイクがエンジンの動力を後輪に伝えている限り、チェーン自体はスプロケット(歯車)と接しているわけですから、ここでも摩擦は生じているのです。だからこそ、金属製のチェーンもスプロケットも摩耗し交換するのです。

 

■摩擦軽減による効果検証

ここで、某有名潤滑油メーカーの面白いデータをお見せしたいと思います。下のグラフは250ccのギア付きバイク(シールチェーン装着車両)の後輪出力を測定したものです。

これは、同社の2つの製品の潤滑性能を比較するために行った実験結果なのですが、同じバイクでチェーンに塗布する潤滑油を変えただけで、それ以外は同条件での測定なのですが、高性能な潤滑油を塗布した方が若干ながら測定結果が向上しています。

この結果から、摩擦が軽減することで実馬力(後輪出力)は向上すると言うが分かりますね。

※スズキ機工(ベルハンマー)HPより

潤滑油のグレードアップだけで3%近くの後輪出力が向上しているのですから、もし潤滑油を使用していない状態を比較したらどうなっていたのでしょうか。これは容易に結果が想像できると思います。

 

■まとめ

チェーンを構成する一つ一つの部品が擦れる時の摩擦係数は小さいかもしれませんが、バイク一台分となると、数百個となりますので、軽視できないレベルになります。そして、摩擦が大きいという事はパワーロスに繋がり、燃費にも少なからず影響も与えます。

また、注油の効果として忘れてはいけないのが「サビ」の抑制があります。サビを発生させた状態で走らせていると、シールチェーンのOリングにダメージを与え破損にもつながり、寿命が極端に短くなってしまいます。

もちろん、メーカーはユーザーが注油をしない事も想定しているので、すぐにOリングが破損したり、チェーンが切れたりする事は無いそうですが、長持ちさせるためにも注油した方が良いです。

メーカーさんも「ネットでまことしやかに言われているチェーン注油不要説は真に受けないで下さい!」とハッキリ言ってます。

それから、注油以前のお話になりますが、チェーンが汚れたまま放置しているのは非常によろしくありません・・・。砂や汚れがチェーンの間に入り込んで、サビと同様にOリング破損に繋がりますので・・・。

さてさて、ここまでお話しすれば、もう、お分かりいただけたと思いますが、チェーンの注油はもとより、メンテナンスをしないとダメです。もし、チェーンのメンテナンスは手が汚れるから嫌だというのであれば、ディーラーでもやってくれます。

チェーンのメンテナンス(清掃、遊びの調整、注油)も定期的に行って、コンディションを良い状態に保ち、気持ちよくバイクを走らせていきましょう^^

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